2011年11月28日月曜日
桜井英治著『贈与の歴史学---儀礼と経済のあいだ』(中公新書、2011年)
もともと、プレゼントをもらうのもあげるのも得意な方ではない。でも、まだあげる方がましかもしれない。逆に、プレゼントをもらうのは、かなり苦手だ。欧米人のように、プレゼントをもらうとそれをすぐ開封し、皆の閲覧に供するという振舞いが、どうしても自然にできない。その理由は、おそらくわが国の中世に遡る。桜井英治著『贈与の歴史学---儀礼と経済のあいだ』(中公新書、2011年)は、日本人の贈与に関する心性を余すところなく歴史学的視点から掘り下げられており、思わず膝を打ちたくなる箇所がたくさんある。それはそうとして、従来、贈与経済と市場経済は根本的に別と言われてきたが、儀礼としての建前主義・形式主義が行き着く先には、市場経済に近づいていくことが実証的に説明されている。だが、やはりすんでの所で、贈与経済は市場経済とは融合しない。この「すんでの所」でのせめぎ合いとエピソードがこの本の面白さ。クリスマス、お歳暮、バレンタインデー、ホワイトデーなどこれからの季節は「贈与の時期」。このタイミングで日本人の贈答文化の実は功利主義的な一面に目を向けるのも面白い。
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