2012年1月17日火曜日

【荒川洋治『忘れられる過去』(朝日文庫・2012年)】

先日、六本木の青山ブックセンターで購入した荒川洋治『忘れられる過去』(朝日文庫・2012年)読了。詩人である荒川洋治のエッセイを読みたいと思ったのは、新学社の保田与重郎文庫の28巻に同氏が寄せていた解説を読んだからである。保田与重郎の「日本の橋」を素材に展開する同氏の解説は、保田与重郎の流麗な文章にすっかり魅せられている。「日本の橋」だけではないが、読んでみれば分かる日本語に「うっとりする」という感覚。本の上ではあれ、荒川洋治もこの経験を共有できる人であったということを知り、とてもうれしくなった。この厚くもない文庫本に74篇ものエッセイ。一つ一つは長くなく、通勤電車の中で読むにはちょうどいい長さ。一つ一つが、ウィットにとみ、ぴりっといい味を出しているのは、筆者のうまいところ。

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