柄にもなく『SPUR』といういわゆる「赤文字系」(?)ファッション誌を買ってみた(『SPUR』が真に赤文字系かどうかは中身を知らないので評価はできない)。たまたま眺めていたTwitterで「『SPUR』9月号で荒川洋治が現代詩について語っている!」という書き込みを見たからだ。
実際、本屋に行って『SPUR』を見ると、表紙にはそんな記事が載っているなんて出ていない。だから、買うときにはちょっと勇気が要ったが、256ページ以下の「クローズアップ現代詩」(タイトルは某公共放送の有名番組を狙ったもの!)という6ページにわたる記事は、「さすが荒川洋治!」と唸らせる柔らかくも硬派な現代詩の紹介となっていた。
「世間にあふれる、安易な”感動”やお手軽な”癒やし”に、ちょっとうんざりしていませんか?」と何とも挑戦的な一言。現代詩についての素朴な疑問に荒川流の見事なお答え。わずかな紙面にポイントを押さえた解説が加えられている。詩の世界はそれ自体を味わうのがベストであって、解説を加えると得てして野暮になるのだが、荒川洋治の手にかかればそんなことはない。上手い具合に鑑賞の手ほどきをしてくれているし、われわれを上手に詩的な気分へと導いてくれている。
「うまいなぁ」と思わず感心したのが「どの詩人から読むのがいいの?」という問いへの答え。「親しみやすくて深い詩を知りたい→黒田三郎、辻征夫。ことばに戦慄したい→吉岡実、谷川雁。意識を拡張したい→飯島耕一、伊藤比呂美。人間の極限を知りたい→石原吉郎、井坂洋子。・・・」。ここに現れた全員の詩を読んだ訳ではないが、確かに吉岡実と谷川雁には「戦慄」したし、石原吉郎や井坂洋子には「極限」を感じた。
「ことばの組み合わせから生まれる、新しい世界」へのごく短い、ささやかな誘い。それにしても、一体誰がこんな企画を持ち込んだのだろう。。。楽しませてもらったけど。。。
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