では、一般消費者に対するスマホ端末の高額キャッシュバック(現金還元)についてはどうだろうか。たしかに、キャッシュバック(現金還元)を経済的に見れば、これは値引きと変わらない。ある財の移転にともない支払われる金銭の総額は、最終的に見ればキャッシュバックも値引きも同じだからである。
しかし、よく見ると、キャッシュバックは、値引きすなわち単なる対価の減額とは一線を画している。なぜなら、値引きは、ある商品の購入と同時に対価が減額されることであるが、キャッシュバックはある商品の購入と同時に一定の経済的利益を備えた権利を受取り、後日これを行使することではじめて対価の減額(値引き)が具体化する。このプロセスを見ると、キャッシュバックは、むしろ値引きというより景品類の提供に近いように思われる。
わが国では、景品類の提供は一般的に禁じられてはいない。一般消費者の選択を歪めるような極端なものが禁止の対象となる。ルールの上では、総付け景品(ベタ景品)の場合は取引価額の2割が目安となっている。
ここで問題となっている一般消費者の対するスマホ端末の「高額キャッシュバック(現金還元)」は、優にこの水準を超えてはいるだろう。ただ、値引きの効果が次回取引時の権利行使を条件とするポイント等の提供とは異なり、まさにその取引に関して後日値引きの効果が得られるキャッシュバックは、消費者を次回の取引に誘引するものではなく、実質的には値引きであるとして、不当な景品類の提供として景品表示法上は問題がないものと扱われてきたのだろうと思われる(つづく)。
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