報道によれば、大手三社が、MNP(ナンバーポータビリティ:番号持ち運び制度)を利用し、通信事業者を乗換える顧客だけをターゲットにしたスマホ端末の極端な値引きと高額のキャッシュバック(現金還元)に投じる販売促進費は、年1兆円にのぼっていたという(日経2014年3月3日朝刊)。
しかし、そんな極端なプロモーションも、年度を跨いだ4月1日には、すでに大手三社の販売店からすっかり姿を消していた(日本経済新聞2014年4月2日朝刊)。販売店ベースでは、3月中旬あたりからこうした動きが現れていたようである。
足並みのそろった大手三社による高額キャッシュバックの廃止……。これは、カルテルではないのか?
カルテルのきっかけは、さまざまだ。原材料費や人件費の高騰といった外的な経済状況によるものもあろう。もちろん、こうした経済状況に対応して、個々の事業者が独自に判断し、価格引上げても、それをカルテルとは言わない。皆で共同して同じ行動をとることが問題だ。
だから、カルテルには、企業間の利害調整が不可欠である。利害が対立して、皆の合意がうまくまとまらない状況も少なくない。そんなとき、カルテルの成立に行政が手を貸す。わが国でしばしばとられた(/とられる)方法である。あるときは「行政指導」として、またあるときは「天の声」として……。いずれにせよ、これが契機となってカルテルや談合が行われる。
今回も、それに近い状況があった。やや変則的ではあるが……。
現在、総務省の情報通信審議会の各委員会において、電気通信事業法についての議論が進められている。この席上、有識者委員の数人から高額キャッシュバック問題が取り上げられ懸念が示された。また、移動体通信各社においてもこのキャンペーンの継続が大きな負担となっていることが指摘された。結果、「あうん」の呼吸が働き、大手三社による高額キャッシュバックの廃止が実現したのだという(日経2014年4月2日朝刊)。
0 件のコメント:
コメントを投稿